天然色素/天然着色料一覧

コチニール色素

名称 コチニール色素(カルミン酸色素)
Cochineal extract・Carminic acid
概要 本品は、エンジムシ(Dactylopius coccus Costa (Coccus cacti Linnaeus))から得られた、カルミン酸を主成分とするものである(第9版食品添加物公定書)。
INS No. 120
E No. E120
色調 橙~赤~紫色
染着性
溶解性(水)
溶解性(油) ×
耐熱性
耐光性
金属の影響 アルミニウムで安定した赤色を呈する。安定化されたコチニール色素、ラック色素はタンパク質やデンプンと共存しても変色せず赤色を保つ。
タンパクの影響 灰色
分類 既存添加物/食品添加物公定書
特徴 酸性で橙、中性で赤、アルカリ性で紫/安定性高い
ニチノーカラー CM-20(粉末)
食品への表示例 コチニール色素、カルミン酸色素、カルミン酸、コチニール
使用基準 本品は以下の食品には使用できません。1.こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品は除く)。2.鮮魚介類(鯨肉は除く)、茶、のり類

来歴

 天然色素の多くが植物由来の色素であるのに対して、コチニール色素はほとんど唯一といってよい動物(昆虫)由来の色素です。
 この色素を持つのは、サボテンなどにつくエンジムシ(Dactylopius coccus Costa(Coccus cacti Linnaeus))で、それを乾燥させて粉末にしたものが用いられています。世界的にも古くからよく使われている色素ですが、原産地は中南米がほとんどを占めており、中でもペルーで世界の90%以上が生産されているとされています。

構造と特徴

 コチニール色素の色素本体は、アントラキノン系色素の一つであるカルミン酸です。アントラキノンはアロエやセンナ、ダイオウなど薬用植物、また菌類や藻類、昆虫に含まれており、抗バクテリア作用など生体防御作用に携わっていると言われています。
 その中でカルミン酸はアントラキノンの構造にグルコース基が結合した構成になっています。

 色素の特徴としては、水やエタノールに溶解し、油脂や有機溶媒には不溶です。pHで色調が異なる特徴があり、酸性で赤橙色、中性で赤色、アルカリ性で赤紫色になります(右写真)。また耐熱耐光性に優れており安定性が高いことも特徴の一つです。

 タンパク質への染着性もありますが、そのままではくすんだ赤紫色~紫色となりきれいな色調になりません。そこで着色料メーカーでは色調を安定させるためにミョウバンやリン酸塩などを配合した製剤を作り、かまぼこなどのタンパク質を含む食品でもきれいな赤色になるように工夫をしています。
 なお、カルミン酸をアルミニウム塩にして不溶化したアルミニウムレーキはカルミンいう赤色の顔料になり、昔は赤色のカーマインやクリムソンレーキなどの絵具の中に使われていました。米国等多くの国ではすでに着色料として認められていますが、日本ではまだ添加物として認められていません。

用途

 コチニール色素は天然色素の中でも色調が鮮明で安定性が高いということで、飲料や菓子類を始め、かまぼこなど水産加工品の練り物や、ハム・ソーセージといった畜産加工品など様々な食品に使用されています。また食品以外にも化粧品や衣服の染料としても使われています。

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