天然色素/天然着色料一覧

トマト色素

名称 トマト色素(トマトリコピン)/ Tomato color
概要 本品は、トマト(Lycopersicon esculentum Mill.(Solanum lycopersicum L.))の果実から得られた、リコピンを主成分とするものである。食用油脂を含むことがある(第9版食品添加物公定書)。
INS No. 160d
E No. E160d
色調 褐~暗赤色
染着性
溶解性(水) ×
溶解性(油)
耐熱性
耐光性
金属の影響
タンパクの影響
分類 既存添加物/食品添加物公定書
特徴 水に不溶/耐熱性が強い
ニチノーカラー  
食品への表示例 トマト色素、トマトリコピン、カロチノイド、カロチノイド色素、カロテノイド、カロテノイド色素、野菜色素
使用基準 本品は以下の食品には使用できません。1.こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品は除く)。2.鮮魚介類(鯨肉は除く)、茶、のり類

来歴

 代表的な野菜の一つにあげられるトマトですが、原産地は南アメリカとされ、16世紀以前にメキシコのアステカ族がアンデス山脈から野生種を元に初めて栽培に取り組んだとされています。それがヨーロッパに広まりましたが、当初は観賞用で、食用になったのは18世紀と近代に入ってからでした。日本には江戸時代に長崎に入ってきたのが最初とされていますが、これも当初はトマト独特の鮮明な赤色が敬遠されて観賞用に留まり、食べられるようになったのは明治以降でした。現在では世界で広く栽培されている作物で、主要な産地は中国、インド、アメリカなどです。

リコピンと色素

 トマトは分類学上はナス属でナスの仲間ですが、トマトの実を食用にします。トマトの実は大きく赤色、緑色、ピンク色に分けられます。緑色やピンク色のトマトは生食用として人気がありますが、最も多く作られているのは赤色のトマトで、生食以外に加工用として広く用いられています。
 赤色のトマトの赤色の本体はリコピン(リコペン)というカロテノイド色素の一つで、トマトの他にもニンジンやスイカなどにも含まれていますが、野菜の中でリコピンを最も多く含むのはトマトです。またリコピンそのものが赤い色素のため、リコピンが多いトマトはすなわち色素も多く含むということになります。

リコピン

 カロテノイドについての説明はカロテン類に書きましたが、リコピンは最も単純な構造を持ったカロテノイドです。βカロテンの前駆体ですが、直接ビタミンAには変換しないため、栄養素としてはこれまであまり注目されてきませんでした。しかしながら近年の研究で、βカロテンよりも強い抗酸化性を持っていたり、免疫調整作用があるとの報告もあり、機能性素材としても注目を集めています。

色素としての特徴

 色素としては、水に不溶で油脂に溶解するという、カロテノイド色素の特徴を持っています。また同じ赤系色素であるアントシアニンとは異なり、pHの影響などを受けることなく加工食品上で鮮明な赤色(トマト色)になること、またソースやスープなど加熱料理によく使われていることから分かるように耐熱性に優れており、飲料や水産加工品、菓子類などに広く使われています。

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