名称 | ベリー類色素/※ (エルダーベリー色素、クランベリー色素、 |
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概要 | エルダーベリー色素:スイカズラ科エルダーベリー(Sambucus caerulea Rafin. Sambucus canadensis Linne,Sambucus nigra Linne)の果実より、搾汁したもの、又は水もしくは酸性水溶液で抽出して得られたものである。主色素はシアニジングルコシド、デルフィニジングルコシドである。 クランベリー色素:クランベリー(Oxycoccus macrocarpus Pers.)の果実より、搾汁したもの、又は水で抽出して得られたものである。主色素はシアニジングルコシド、ペラルゴニジングルコシドである) ブラックベリー色素:ヨーロッパブラックベリー(Rubus fruticosus Linne)の果実より、搾汁したもの、又は水で抽出して得られたものである。主色素はシアニジングルコシドである。 ブルーベリー色素:ハイブッシュブルーベリー(Vaccinium corymbosum Linne)又はツツジ科ロースイートブルーベリー (Vaccinium angustifolium Ait)の果実より搾汁したもの、又は水若しくは弱酸性水溶液で抽出して得られたものである。主色素はアントシアニンである。 ボイセンベリー色素:エゾイチゴ(Rubus strigosus Michx.)の果実より、搾汁したもの、又は水若しくは酸性水溶液で抽出して得られたものである。主色素はシアニジン-3-グルコシド等である。 ホワートルベリー色素:ホワートルベリー(Vaccinium mytrillus Linne)の果実より、搾汁したもの、水若しくはエタノールで抽出して得られたもの、又はメタノールで抽出し、溶媒を除去したものである。主色素はマルビジングルコシド等である。 ラズベリー色素:セイヨウキイチゴ(Rubus idaeus Linne)の果実より、搾汁したもの、又は水若しくは弱酸性水溶液で抽出して得られたものである。主色素はシアニジングルコシドである。 レッドカーラント色素:アカスグリ(Ribes sativum Syme.)の果実より、搾汁したもの、又は水で抽出して得られたものである。主色素はペラルゴニジンフガラクトシド、ペチュニジンガラクトシド等である。 |
INS No. | 163 (アントシアニンとして) |
E No. | E163 (アントシアニンとして) |
色調 | 赤~赤紫色 |
染着性 | △ |
溶解性(水) | 〇 |
溶解性(油) | × |
耐熱性 | 〇 |
耐光性 | 〇 |
金属の影響 | あり |
タンパクの影響 | 暗赤紫色 |
分類 | 一般飲食物添加物/ブラックカーラント色素は食品添加物公定書、他は既存添加物自主規格 |
特徴 | アントシアニン色素/pH3以下鮮明赤紫色、pH5~6赤褐色 |
ニチノーカラー | |
食品への表示例 | (各名称(〇〇ベリー色素))、アントシアニン、アントシアニン色素、果実色素、ベリー色素 |
使用基準 | 本品は以下の食品には使用できません。1.こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品は除く)。2.鮮魚介類(鯨肉は除く)、茶、のり類 |
ベリー果実は世界各地に様々な品種がありますが、これらの果実の色の主体は全てアントシアニンです。日本では食品添加物公定書には収載されていませんが、上に上げたベリー類の色素はいずれも一般飲食物添加物として、(一財)日本食品添加物協会から自主規格が作られています。
一概にベリー類といっても、実は幾つかの異なる品種に分けることができます。
科目 | 色素 |
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ツツジ科 | ブルーベリー色素、ホワートルベリー色素、クランベリー色素 |
バラ科 | |
ユキノシタ科 | レッドカーラント色素 |
スイカズラ科 | エルダーベリー色素 |
ツツジ科
この中で最もよく知られているのはブルーベリー色素の元であるブルーベリーではないでしょうか。ツツジ科の中ではブルーベリーは栽培種で、ホワートルベリー、クランベリーは野生種になります。ブルーベリーのアントシアニンは、色素としてよりもむしろ、眼に対する機能性素材として注目されることが多いのではないでしょうか。
ブルーベリー色素は約15種類のアントシアニンからなりますが、マルビジンにアラビノースが結合したマルビジン 3-アラビノシド(Mv 3-Ala)、デルフィニジンにガラクトースが結合した(Dp 3-Gal)デルフィニジン 3-ガラクトシド、ペチュニジンにガラクトースが結合した(Pt 3-Gal)ペチュニジン 3-ガラクトシドの3つが主成分になります。
ホワートルベリーは別名ビルベリーとも言われ、果実中にアントシアニン量はブルーベリーの約3倍多く含まれていることから、サプリメント原料としてもよく用いられます。ホワートルベリー色素も約15種類のアントシアニンからなり、デルフィニジンにグルコース、ガラクトース又はアラビノースが結合したデルフィニジン 3-グルコシド(Dp 3-Glc)、デルフィニジン 3-ガラクトシド(Dp 3-Gal)、デルフィニジン 3-アラビノシド(Dp 3-Ala)、及びシアニジン 3-グルコシド(Cy 3-Glc)の4つが主成分になります。
クランベリーは北米原産の3大フルーツ(クランベリー、ブルーベリー、コンコードグレープ)の一つです。甘いクランベリーソースは感謝祭の七面鳥に添えられるものとして欠かせません。クランベリー色素は約6種類のアントシアニンからなり、ペオニジンにアラビノースが結合したペオニジン 3-アラビノシド(Pe-3-Ala)とシアニジンにガラクトースが結合したシアニジン 3-ガラクトシド(Cy-3-Glc)の2つが主成分になります。
バラ科
ストロベリー色素は言うまでもなくイチゴ由来の色素です。色素としてよりも、生食やお菓子などで使われるほうが多いのではないでしょうか。イチゴの色素は9割以上がペラルゴニジンにグルコースが結合したペラルゴニジン 3-グルコシド(Pe 3-Glc(カリステフィン))で、その他にシアニジン 3-グルコシド(Cy 3-Glc)が含まれています。
ストロベリー色素はアントシアニン色素の中でも安定性はあまり高くなく、ジャムやジュースにした際に当初は鮮やかな赤色になっても、保管しておくと暗赤色に変色してしまいます。これは環境(温度やpHなど)や配合成分(塩類、糖、ビタミンCなど)の影響によるものですが、その中でも特に、イチゴに多く含まれているビタミンCがアントシアニンを分解してしまうために変色することが知られています。従って変色を抑えるためにクエン酸やレモン汁を加えてpHを下げる、変色を促進する金属イオンが働かないように金属性の鍋などの使用を避ける、ビタミンCの反応を抑えるために糖度を上げる、などの方法が使われています。
ブラックベリー色素で使われるブラックベリー、ラズベリー色素で使われるラズベリーはいずれもキイチゴの仲間で、元々の野生種はヨーロッパや北米ほか各地にみられていましたが、現在扱われているのは北米が原産の栽培種です。またボイセンベリーはキイチゴの交雑種の一つです。いずれも酸味が強いので主にジャムやソースで使われます。
ブラックベリー色素はシアニジンにグルコース、ルチノース、キシロースが結合したシアニジン-3-グルコシド、シアニジン-3-ルチノシド、シアニジン-3-キシロシドの3つが主成分ですが、品種や栽培環境による変化が大きいと言われています。
ラズベリー色素で使われるラズベリーはキイチゴ全体を広く網羅しており、いわゆる日本でキイチゴと呼ばれるものはほぼラズベリーに相当します。ジャムやソースに使われるほか、生食もされます。主なアントシアニンはシアニジン3-グルコシド(Cy 3-Glc)とシアニジン3-ソホロシド(Cy 3-Sop)です。
一方ボイセンベリーはシアニジン 3-グルコシド(Cy 3-Glc)やシアニジン 3-ルチノシド(Cy 3-Rut)など、ブラックベリーと比較的良く似たアントシアニンを主体にしています。
このように、一般的にはジャムやソースとして使われることが多く、色素としての使用はあまり見られません。
ユキノシタ科
ユキノシタ科のベリー類はレッドカーラント色素とブラックカーラント色素の2つです。レッドカーラントは日本では赤スグリと呼ばれていて、房状に連なった小さな実をつけます。またブラックカラントは黒スグリ、もしくはカシスと呼ばれています。いずれも酸味が強く、ジャムやお菓子に使われることが多い果実です。その名の通り、レッドカーラントは赤色の実を、ブラックカーラントは黒い実をつけるのが特徴です。いずれも色の主体はアントシアニンですが、レッドカーラントはシアニジン 3-ルチノシド(Cy 3-Rut)、シアニジン 3-キシロシルルチノシド(Cy 3-Xyl・Glc)、シアニジン 3-グルコシルルチノシド(Cy 3-Xyl・Rut)などが主成分なのに対して、ブラックカーラントはデルフィニジン 3-ルチノシド(Dp 3-Rut)とシアニジン 3-ルチノシド(Cy 3-Rut)の2つが主要なアントシアニンになります。
スイカズラ科
スイカズラ科のベリー類はエルダーベリー色素の1つのみです。欧米では古くから食用としており、一部薬用としても使われています。小さい実をブドウのように房状にたくさんつけるのが特徴です。色素はシアニジン 3-グルコシド(Cy 3-Glc)とデルフィニジン 3-グルコシド(Dp 3-Glc)の2つが主成分になります。