着色例・着色見本

こんにゃくの着色

以前乾燥こんにゃく粉の着色を行ったことがありますが、今回手作りこんにゃくのキットを手に入れることができたので、天然色素を使ってこんにゃくを着色してみました。

ちなみに今回使用したのはこのセットになります(右写真)。
手作りこんにゃくセット(群馬県蒟蒻原料商工業協同組合)

こんにゃくの主成分はグルコマンナンというグルコースとマンノースからなる食物繊維で、天然色素と相性が良いタンパク質が少ないために染まりにくい食品で、また一度着色しても水にさらしたり茹でたりすると色が抜けたりブリード(にじみ)しやすい特徴があります。

通常、このような食品を着色する場合は、
①対象食品の主成分を直接着色する性質を持つ色素を用いる。
②色素の粒子(粒)を大きくして、一度食物繊維に絡めとられた色素が抜けないようにする。
③色素のパウダーなどを練りこんで着色したようにみせる。
などの方法が用いられます。

①の性質で染着する色素の他、例えば写真にあるβカロテンは、本来は油溶性で黄色いβカロテンを水に分散し、かつ赤色になるように特殊な処理を行った製剤で、そのために粒子サイズが大きくなり色抜けしづらくなっています。

一方、クチナシ青色素や水溶性アナトーはいずれも酸性下で色素が不溶化する性質があります。従って、これらの色素を加えたこんにゃくのりを固める前に、一度クエン酸水など酸性水にさらすことで色素を不溶化し、こんにゃくから色が抜けにくくしています。従ってこれは②の性質を利用したものです。

クロレラ末はこんにゃくの着色に比較的よく使われる素材ですが、素材自体はクロレラを粉砕した粉末で本来水にも油にも溶けません。そこでこんにゃくのりにクロレラ末を加えてよく混ぜて(練りこんで)から固形化することでこのように色がついたように見えます。これは③の性質を利用したものです。

またこんにゃくの特徴として、元々水溶性のグルコマンナンを不溶性の食物繊維に変えてこんにゃくの形を作りますが、その際に炭酸カルシウムなどいわゆる灰汁を使います。これらは強アルカリの溶液のため、アルカリ性では不安定なアントシアニン系色素はいずれも退色してしまいました。またこんにゃくを食べる時には通常湯がいて灰汁を洗い流すなど行いますが、耐熱性が弱いビートレッド色素も退色してしまいました。

昔はこんにゃくと言えば白、黒、緑色のイメージでしたが、
最近はダイエット食品としてコンニャクゼリーなども知られてきており
彩りもこのように華やかになってきています。
このように身体によいこんにゃくと天然色素の組み合わせ、
ますます用途が広がるのではないでしょうか。

※写真の撮り方で色合いが違って見えるものがありますが予めご了承ください。

Recipe <使用キット(1丁300gx6丁分)>

 <生地>
  こんにゃく精粉      1袋(50g) 
  水酸化カルシウム(灰汁) 1袋(2~3g) 
  水またはぬるま湯     1.45~1.80リットル
  色素(下表参照)

 <色素>  (キット1袋に対して)

クロレラ末 ニチノーカラー G-W-1 1.5g(0.1%)
7.5g(0.5%)
βーカロテン ニチノーカラー R-AN 7.5g(0.5%)
トウガラシ色素 ニチノーカラー R-GP 1.5g(0.1%)
クチナシ赤色素 ニチノーカラー クチナシR-50LB 1.5g(0.1%)
クチナシ黄色素 ニチノーカラー Y-S15P 1.5g(0.1%)
クチナシ青色素 ニチノーカラー ブルーP 1.5g(0.1%)
水溶性アナトー ニチノーカラー ANT-230W 1.5g(0.1%)

 <作り方>
   ① 1.45~1.8リットルの水又はぬるま湯に精粉1袋を少しずつづつ入れる。
   ② のり状になるまで混ぜ、その後20~30分間静置する。
   ③ 容器に200mlの水又はぬるま湯に水酸化カルシウム1袋を入れてかき混ぜる(灰汁)。
   ④ ②のこんにゃくのりに 色素を加えてよく混ぜる。
   ⑤ 練りながら灰汁を入れ、手早くしゃもじで切るようにしてかき混ぜる。
   ⑥ のり状になったら型に入れて冷やす。
   ⑦ 型から外し、適当な大きさに切ったこんにゃくを30分程度煮て灰汁抜きを行う。


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