チョコレート、ケーキ、ドーナツなどのお菓子の表面を彩るデコレーションの一つとしてアイシングがあります。通常よくみられるのは砂糖を卵白で固めたもので、それに色を付けたりデザインに工夫を凝らしたりしてして楽しまれています。製菓材料店ではアイシング用に国内外の様々な色素が販売されていますが、国外の色素は合成色素が多いようです。しかしながら天然色素も実はアイシングと相性が良く、非常に鮮やかでカラフルな色あいのアイシングを作ることができます。そこで今回、天然色素を使ってアイシングを作ってみました。
アイシングの生地の材料は砂糖と卵白のため、生地はホイップクリームのような白色になります。従って各色の色合いが鮮やかに出やすい生地と言えます。今回はベース部分とデコレーション部分をそれぞれ色素の添加量を変えて濃淡の違いがわかるように着色しました。
いずれも合成色素ほどのクリアな鮮やかさはありませんが、カラフルでありながら天然色素っぽい落ち着きのある色合いが表現されているかと思います。なお材料に卵白を使うため、素材のpHは中性になります。従ってムラサキイモ色素のようなアントシアニン系色素を使う場合は、通常みられる赤色ではなくこのような青紫の色合いになります。赤色にする場合はクエン酸など酸を添加する必要があります。
またアイシングはコルネから押し出して成型しますが、水分量が少ないと固くて出ず、逆に多いと成型しないなど、水分量の調節が重要と言われています。市販されている色素には液体と固体(粉末)がありますが、液体色素の場合は色合いと生地の固さを同時に調整しないとならないため扱いが難しく、通常アイシング用として販売されているのはほぼ粉末色素か、ゲル状したものになります。ちなみに今回使用している色素は全て粉末色素です。
<生地>
粉砂糖 1kg
卵白 150g
レモン汁 適量
色素(下表参照)
<色素>
※色素濃度は生地(1kg:ベース/0.2kg:デコレーション)に対して
ベース(薄い) | デコレーション(濃い) | ||
アカダイコン色素 トウガラシ色素 |
ニチノーカラー R-R500SP(S) ニチノーカラーR-GP |
0.8g/kg(0.08%) 2g/kg(0.2%) |
0.5g/0.2kg(0.24%) 1.2g/0.2kg(0.6%) |
トウガラシ色素 | ニチノーカラー R-GP | 5g/kg(0.5%) | 3g/0.2kg(1.5%) |
クチナシ黄色素 | ニチノーカラー TY | 1.2g/kg(0.12%) | 0.7g/0.2kg(0.36%) |
クチナシ黄色素 クチナシ青色素 |
ニチノーカラー グリーンP-2 | 0.9g/kg(0.09%) | 0.5g/0.2kg(0.27%) |
クチナシ青色素 | ニチノーカラーブルーP | 0.8g/kg(0.08%) | 0.5g/0.2kg(0.24%) |
ムラサキイモ色素 | ニチノーカラーR-M100P | 0.7g/kg(0.07%) | 0.4g/0.2kg(0.21%) |
アカビート色素 | ニチノーカラー ビートレッドCG30 | 3g/kg(0.3%) | 1.8g/0.2kg(0.9%) |
カカオ色素 | ニチノーカラーBP-3 | 1.6g/kg(0.16%) | 1g/0.2kg(0.48%) |
<作り方>
① 粉砂糖に卵白を加えてよく混ぜる。
② 少量の水で溶解した色素を加えてよく混合する。
③ コルネに詰めて先端をカットし、クッキーを縁取る。
④ 軟らかめに調整したアイシングを③で縁取った中に塗り込む。
⑤ 一晩乾燥させる。