名称 | アカキャベツ色素(ムラサキキャベツ色素)/Red cabbage color |
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概要 | 「本品は、キャベツ(Brassica oleracea var. capitata L.) の葉から抽出して得られたシアニジンアシルグルコシドを主成分とするものである。デキストリン又は乳糖を含むことがある(第9版食品添加物公定書)」 |
INS No. | 163又は163(v) |
E No. | E163 |
色調 | 赤~赤紫色 |
染着性 | △ |
溶解性(水) | 〇 |
溶解性(油) | × |
耐熱性 | 〇 |
耐光性 | 〇 |
金属の影響 | あり |
タンパクの影響 | 暗紫青色 |
分類 | 一般飲食物添加物/食品添加物公定書 |
特徴 | アントシアニン色素/pH3以下鮮明赤紫色、pH4~6暗赤紫色 |
ニチノーカラー | 赤キャベツ色素N(液体)/R-K100P(粉末) |
食品への表示例 | アカキャベツ色素、ムラサキキャベツ色素、野菜色素、アントシアニン色素、着色料(アントシアニン)、着色料(アカキャベツ) |
使用基準 | 本品は以下の食品には使用できません。1.こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品は除く)。2.鮮魚介類(鯨肉は除く)、茶、のり類 |
アカキャベツ色素の元となる赤色や紫色のキャベツは、アブラナ科に属し、その原型は現在にもある結球しないタイプのものとされ、紀元前からすでに存在していたと言われています。結球型のキャベツは13世紀以降に現れ、赤色や紫色のキャベツは16世紀頃に変異体として、緑色のキャベツから出現したとされています。
日本へは18世紀ごろ、江戸時代にオランダから長崎を通して伝えられたとされていますが、当初はケールのような結球しないものでした。現在のキャベツの形になったのは意外に遅く、大正時代に入ってからと言われています。現在では品種改良が進み、大きさの違いや早生型、晩生型など様々な品種が育成されています。
通常八百屋やスーパーでみられるアカキャベツは「中生ルビーボール」や「ネオルビー」とい う品種が知られており、サラダなどでよく使われますが、千切りにすると切断面が白く目立ちます。また見た目ほど色素が多くないため、色素用には適していません。色素メーカーは独自の色素用のアカキャベツ品種を持っていますが、それらは葉が薄くて固く、身が締まっており、若干色素由来の苦みもあり生食には向きません が、その分赤い色素であるアントシアニンを多く含みます。
アカキャベツ色素の主成分はアントシアニンで、約11種類があるとされています。そのうち5種類は シアニジンに糖であるソホロースとグルコースが結合したルブロブラジンを基本構造としています。 それにp-クマル酸がついたシアニジンー3-パラクマロイルソホロシド-5-グルコシドもしくはシナピン酸がついたシアニジン-3-シナポイルソホロシド-5-グルコシドの2つのアシル化アントシアニンが全体の約半分を占めています。その他はシナピン酸やフェルラ酸、p-クマル酸が結合したジアシル化アントシアニンが含まれています。アシル化アントシアニンとジアシル化アントシアニンが多くを占めるため、アントシアニン色素の中では安定性が高いとされています。
アカキャベツ色素は水に易溶、アルコールに可溶、油脂には不溶で、pHの影響を受けて色調が変化します。pH3 の緩衝液中では比較的紫味が少ない赤紫色を示し、その際の可視部の極大吸収波長は530 nmです。アカダイコン色素ほどではあ りませんが、アブラナ科植物独特の臭いがあるため、脱臭工程を加えるなどして臭いを抑えたアカキャベツ色 素製剤があります。
アカキャベツ色素は比較的耐熱・耐光性に優れており、 アントシアニン系色素の中で最も使用量が多い色素とされています。用途としてはよくお弁当に入っているダイコンの桜漬の色付けによく使われています。その他、梅漬や柴漬、甘酢生姜、紅生姜などの漬物や 飲料、冷菓、菓子、ゼリーなどに使われています(下の写真はイメージです)。