着色例・着色見本

透明系の飲料の着色①黄色、緑色、青色

 液体を天然色素で着色する場合、元になる液体が透明か不透明か、また液体そのものに色がついているかなどで色の見え方が大きく変わります。今回、色がついていない透明な飲料の色合いを比較してみました。ここではまず黄色、緑色、青色についてとりあげました。イメージとしては清涼飲料水が該当するかと思います。

【黄色】

黄色はクチナシ黄色素、ベニバナ黄色素、カロテン類色素で着色しました。クチナシ黄色素は2つのタイプの写真を載せています。これはクチナシ黄色素の色素成分であるクロシンとクロセチンのうち、クロセチンを主とするもの(左側)とクロシンを主とするもの(右側)で色合いが変わるためです。写真では分かりづらいですが、右側の方が赤みが強い色調になるのに対して左側の方はベニバナ黄色素に近い青みがかった色調になります。
 ベニバナ黄色素は元々青みが強い色調の傾向があり、柑橘系の中でもスダチや青みかんなど未熟果のイメージで使われています。
 カロテン類色素はクチナシとベニバナの間の色合いですが、元々水には溶けない油溶性の色素のため、飲料に使う場合は乳化させて水に分散するようにした製剤が使われます。

【青色】

青色は、3種類のクチナシ青色素と、スピルリナ色素の写真を載せました。またもう一つの青色の天然色素であるスピルリナの色素の写真を載せました。色素としての安定性などはさておき、色の鮮やかさという点ではクチナシ青色素よりもスピルリナ色素のほうが優れていることがお判りいただけるかと思います。

【緑色】

緑色の不透明な飲料としては青汁や野菜ジュースなどの野菜系飲料が思い浮かぶかと思いますが、透明な飲料というとまずはお茶ではないでしょうか。お茶の緑色は茶葉の葉緑素(クロロフィル)によるものですが、クロロフィルは安定性があまり強くないため、淹れたてのお茶はきれいな緑色を呈していても、時間を置くと茶色っぽく変色してしまいます。それを防ぐために缶やペットボトルなどで市販されているお茶飲料はビタミンCなどの酸化防止剤を添加して、クロロフィルの酸化とそれに伴う退色を抑えるようにしています。また別の方法として、一定の色調を保つために、クチナシ青色素と黄色の色素を混合して緑色を補色することが行われています。
 ここでは黄色の色素としてクチナシ黄色素とベニバナ黄色素を用いています。上でも述べましたが、ベニバナ黄色素と比べて赤みが強いクチナシ黄色素の方が緑色が濃いイメージになります。


COPYRIGHT (C) NICHINOSHOKUHIN ALL RIGHTS RESERVED