うどんやそうめんが小麦粉と水と食塩を使って作るのに対して、中華麺は食塩の代わりにかん水を使うのが特徴です。かん水は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸塩のうち1種類以上を含むもので、起源としてはかつて中国でアルカリ性の水を持った湖(かん湖)の水で麺を練ったところ、非常にコシのある麺ができたことが発祥という説があります。
かん水はアルカリ性の水溶液で、小麦粉のタンパク質に作用して弾力や風味をつけたり、でんぷんに作用して粘りをもたらしたりします。また、小麦粉が持つフラボノイド色素に作用して、これを黄色に発色させる働きもあります。昔は小麦粉の精製技術が低く、粉の中にはフラボノイド色素が含まれていましたが、現在は小麦粉は高度に精製されるようになり、高品質の小麦粉になるほどフラボノイドが含まれないようになりました。そこで現在は、フラボノイド色素であるクチナシ黄色素を補色として小麦粉に添加して、中華麺の色合いを出しています。
このように通常は中華麺は黄色のイメージがありますが、もし他の色で着色することができれば新しい提案につながるかもしれません。そこで、辛そうなイメージをさせる赤色の中華麺を試作しました。
下の写真はいずれも、コントロールとしてクチナシ黄色素を添加して作る通常の麺のレシピに天然の赤色色素を添加したもので、茹でた後のものです。
通常辛みというとイメージするのはトウガラシ色素ですが、実はトウガラシ色素の原料として使われるトウガラシ(パプリカ)は辛みがないものを使用しているため、色素自体には辛みはありません。また色合いもトウガラシの赤色にならず、黄色味が強いものになりました。それに対してクチナシ赤色素やベニコウジ色素を加えると赤みを強めることができました。しかしながら、特にベニコウジ色素では茹でると色素が一部流れ出てしまい、ゆで汁に色がついてしまったので、一工夫が必要かもしれません。