溶かした寒天に砂糖を加えて固めて作る、錦玉羹(きんぎょくかん)または琥珀羹という和菓子があります。元々、琥珀羹の琥珀色は、天然色素であるクチナシ黄色素の原料であるクチナシの実から採った色であるという話もあり、昔から天然色素が色付けに使われていた食品の一つです。
そこで今回、各種の天然着色料で着色した錦玉羹を試作しました。
錦玉羹は基本的には寒天の着色になり、寒天は元が透明無着色のため、各色素の持っている色合いがそのまま表れます。またここではアントシアニン系色素は使用していませんが、理由としては寒天のpHが中性寄りでアントシアニン色素では綺麗に発色しないことや、発色させるためにクエン酸などの酸を加えてpHを下げると寒天の固化性が悪くなるためです。
今回試作した錦玉羹の中には道明寺粉を使いましたが、練りきりや果物などを内部に散らすことで見た目や風味を様々に変化させることができます。クチナシ赤色素は桜、ベニコウジ色素は杏子や柿、黄色は柑橘系、緑は抹茶系などのイメージになります。緑色は黄色素と青色素の組み合わせで表現していますが、黄色素の違い(ベニコウジ黄色素とクチナシ黄色素)で微妙に異なる色あいになります。このように添加量や色の組み合わせの割合を変えることで様々な色調を作ることができます。中に散らす果物や甘味などの様々な素材に寒天の色をあわせることで、更に見た目を楽しませる錦玉羹になるのではないでしょうか。