名称 | アカダイコン色素/Red Radish color |
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概要 | 「本品は、ダイコン(Raphanus sativus LINNE.) の赤紫の根(赤ダイコン)の根から得られた、ペラルゴニジンアシルグルコシドである。デキストリン又は乳糖を含むことがある(第5版既存添加物自主規格)」 |
INS No. | 163又は163(viii) |
E No. | E163 |
色調 | 赤色 |
染着性 | △ |
溶解性(水) | 〇 |
溶解性(油) | × |
耐熱性 | 〇 |
耐光性 | 〇 |
金属の影響 | あり |
タンパクの影響 | 暗赤紫色 |
分類 | 一般飲食物添加物/既存添加物自主規格 |
特徴 | アントシアニン色素/pH3以下鮮明赤色・pH5~6赤色 |
ニチノーカラー | 「R-R610A(液体)」「R-R500SP(S)(粉末)」「赤ダイコン色素120J(液体、国産アカダイコンのみ使用)」 |
食品への表示例 | アカダイコン色素、野菜色素、アントシアニン色素、着色料(アントシアニン)、着色料(アカダイコン) |
使用基準 | 本品は以下の食品には使用できません。1.こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品は除く)。2.鮮魚介類(鯨肉は除く)、茶、のり類 |
アカダイコン色素の原料となるアカダイコンはアブラナ科ダイコン属に属し、原産地は地中海から中央アジアとされています。古代エジプトでは紀元前2500年頃に既に食されていた記録があり、日本でも平安時代中期の著書「和名類聚抄(934(承平4)年)」にダイコンの記載があるほか、源氏物語の注釈書である「河海抄(1362(康安2)年)」に春の七草として「芹(セリ)、なづな(ペンペングサ)、御形(ハハコグサ)、はこべら(ハコベ)、仏の座(タビラコ)、すずな(カブ)、すずしろ(ダイコン)、これぞ七草」との記載があり、最も古くから親しまれてきた野菜の一つとも言えます。食用としての利用の他、消化不良や扁桃痛に対して民間療法的に用いられた例もあります。
基本的には皮部、内部共に白色ですが、中国には「紅心大根」のような皮部が白~緑色(青首)で内部が赤色のダイコンがあります。現在では更にアカダイコンの育種が進み、皮部、内部共に赤い「紅くるり」が日本の種苗メーカーにより開発され、アントシアニン量が青首大根の約3倍、抗酸化力も約10倍と優れた特徴を持ち、サラダの彩り用として最近目にすることも多くなっています。
アカダイコン色素にはペラルゴニジンを骨格とした誘導体とシアニジンを骨格とした誘導体があり、それぞれにフェルラ酸やカフェ酸、パラクマル酸などの芳香族有機酸でアシル化されたアシル化アントシアニンとして存在しています。ペラルゴニジンは橙赤色、シアニジンは紫赤色を呈するため、前者の割合が多いとアカダイコン色素の色調の特徴である橙赤色、後者の割合が多いとは紫赤色を呈することが知られています。アカダイコン色素に用いられるのは、ペラルゴニジンを中心とした、特徴的な朱赤色を呈するアカダイコンが主に使われています。(右図)。
アカダイコン色素は食品添加物の中では一般飲食物添加物(通常は食品として用いられるが、食品添加物的な使い方をするもの)、食品添加物公定書にはまだ収載されておらず、(一社)日本食品添加物協会が出版している「第5版 既存添加物自主規格」に収載されています。水に易溶、アルコールに可溶、油脂には不溶で、pHの影響を受けて色調が変化します。他のアントシアニンと比較して朱赤に近い明るい色調に特徴がありますが、独特のダイコン臭があり、一度脱臭処理を行ってもしばらく経つと再び臭いが発生する(戻り臭)ため、主に紅ショウガやさくら漬けなどの漬物類に使用されています。またアントシアニンの中では比較的耐熱、耐光性に優れており、乳化製剤にすることである程度臭いのマスキングができることから、飴やチョコレートなどの菓子類にも使われます。