天然色素/天然着色料一覧

カロテン類

名称 カロテン類(植物由来:ニンジンカロテン/Carrot carotene、パーム油カロテン/Palm oil carotene)

カロテン類(藻類由来:デュナリエラカロテン/Dunaliella carotene)
概要 ニンジンカロテン:「本品は、ニンジン(Daucus catota L.)の根から得られた、カロテンを主成分とするものである。食用油脂を含むことがある。(第9版食品添加物公定書)」

パーム油カロテン:「本品は、アブラヤシ(Elaeis guineensis Jacq.)の果実から得られた、カロテンを主成分とするものである。食用油脂を含むことがある。(第9版食品添加物公定書)」

デュナリエラカロテン:「本品は、デュナリエラ(Dunaliella bardawil 又はDunaliella salina)の全藻から得られた、β-カロテンを主成分とするものである。食用油脂を含むことがある。(第9版食品添加物公定書)」
INS No. 160a(ii)(植物由来)
160a(iV)(藻類由来)
E No. E160a(植物由来)
なし(藻類由来)
色調 黄色
染着性
溶解性(水) ×
溶解性(油)
耐熱性
耐光性
金属の影響 なし
タンパクの影響 なし
分類 既存添加物/食品添加物公定書
特徴 油脂に可溶で水に不溶/耐熱性強い
ニチノーカラー Y-ASP10(パーム油カロテン、液体、水分散性)
食品への表示例 ニンジンカロテン:キャロットカロテ(チ)ン、ニンジンカロチン
パーム油カロテン:パーム油カロチン
デュナリエラカロテン:藻類カロテ(チ)ン、デュナリエラカロチン、ドナリエラカロテ(チ)ン
※上記3色素共に使用可
カロテ(チ)ノイド、カロテ(チ)ノイド色素、カロテ(チ)ン色素、カロテ(チ)ン 、抽出カロテ(チ)ン
使用基準 本品は以下の食品には使用できません。1.こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品は除く)。2.鮮魚介類(鯨肉は除く)、茶、のり類

来歴

 カロテンは、カロテノイド骨格の両端にβ環を持つβ-カロテンと、片方にβ環を持つα-カロテンが一般的に知られている、黄色~橙色を呈する代表的なカロテノイドです。いずれも植物により作られ、動物では作ることができませんが、動物の体内でビタミンA(レチノール)に変換してビタミンAの活性を示すため、プロビタミンAとして栄養強化の目的にも用いられます。
 色素としてのカロテンは由来(合成、植物由来、藻類由来)で分けられています。このうち合成由来のカロテンはβカロテンで、日本では指定添加物(INS160a(i)/E160a)として扱われていますが、天然着色料の範疇からは外れるためここでは取り扱いません。

カロテンの種類

 植物由来のカロテンは、日本ではニンジンカロテンとパーム油カロテンがそれぞれ認められており、いずれも既存添加物であり、公定書に収載されています。これらのカロテンにはβ-カロテンを始めとして、ルテイン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、β-クリプトキサンチンといった様々なカロテンの混合物であることが知られており、天然カロテンとして扱われています。
 加えて、藻類由来のカロテンは、日本ではデュナリエラカロテンが藻類カロテンとして認められています(既存添加物)。デュナリエラカロテンはβカロテンが95%を占めており、その他にα-カロテン、ルテイン、ゼアキサンチンなどが含まれているとされています。 

特徴

 色素としては、油溶性で水には不溶です。熱には安定ですが、光や酸化に弱く退色しやすい特徴があるため、L-アスコルビン酸やトコフェロールなどの酸化防止剤を加えて安定性を向上させることが行われています。なお染着性はありません。

用途

 用途としては、他のカロテン類色素と同様に、果汁入り飲料やジャム、菓子類、マーガリンやチーズ、アイスクリームなど、加工食品全般に使われています(下写真)。

 また、国際的にも最もよく知られている天然色素の一つであり、海外向け製品にも使用しやすい色素の一つです。

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