合成着色料と天然着色料

合成色素から天然色素への置き換えについて

 よくお問い合わせを頂く質問の一つとして、合成色素から天然色素に置き換えたいがどの色素を使えばよいかというものがあります。合成色素は基本的に色素物質が純品に近い状態で作られており、またそもそも着色のために合成された物質であるため色調がはっきりしており、安定性も高いのが特徴です。その一方で、天然色素は元々動植物が持つ有色成分を色素として利用しているため、色素成分が複数含まれていたり、ポリフェノールや糖質など色素以外の成分も含まれているため、合成色素ほど色調は明確でなく安定性も劣ります。このようにそもそもの位置づけが異なるため、単純に置き換えるのは難しいですが、参考までに赤色と青色の例を示します。

青色

青色は青色1号と青色2号がありますが、通常青色として用いられるのは青色1号で、青色2号は緑色など混合色として用いられることが多い色素です。日本で使用できる青色の天然色素はクチナシ青色素とスピルリナ色素がありますが、クチナシ青色素は赤みがあり暗い青色となり、青色1号の鮮明な青とは異なります。それに対してスピルリナ色素は青色1号に類似した色調を示しますが、耐熱性が弱いため、使える食品が限られるという難点があります。

赤色

 赤色は赤色104号、105号、106号を取り上げました。合成色素の赤色は非常に鮮明で、ピンク系の蛍光を帯びた色を呈しますが、残念ながら天然色素でこの色調を持ったものはありません。アントシアニン色素のムラサキイモ色素や動物由来のコチニール色素とは異なる色調を示すため、全く同じ色合いでの置き換えというのは難しいとされています。その中で食品メーカーや着色料メーカーは目的とする食品に対して、天然色素の添加量や組み合わせをいろいろ試しながら、少しでも近い色に近づける取り組みを進めています。

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